第21章 イブとヤキモチと、報いと長期戦と
『自分でも、こんな感情どうかしてると思うんですけど…
ヤキモチです。これはきっと。あの人に対して。
はたけさんに、自分の命を捧げる事を許されている事実に。
はたけさんを、本気で想っている彼女にも。
はたけさんが、そんな彼女の想いを汲み取って 優しさを見せた事にも。
ごめんなさい…迷惑で、気持ち悪いですよね。
私なんかが、勝手にこんな身勝手な』
「言っておくけど、華氷は忍で、エリは違う。
彼女はいつだって死ぬ覚悟が出来てるんだ。
でも、エリには絶対に死んで欲しくない。
生きていて欲しいって、思ったんだよ。
それに…俺はきっと忍を恋愛対象には選ばない」
カカシは、より強い力で私の頭を自分の胸板に押し付けた。
「俺が…選んだのは」
冷え切った指先を、カカシの唇にあてる。
人差し指と、中指の先から伝わってくる熱。
マスク越しだというのに。彼の唇は燃えるように熱かった。
「……君こそ、酷いね。
俺の気持ち…。伝えたい言葉。
それを言わせてもくれないの?」
カカシから距離を取り、しっかりとその顔を見つめる。
その表情から察するに、カカシももう分かっている。
私が、なぜカカシに続きを言わせなかったのか。
『…ごめんなさい』
カカシの気持ちがどうであれ、
私の気持ちがどうであれ、
私が彼を、選ばないこと。