第21章 イブとヤキモチと、報いと長期戦と
『雪、積もりましたね』
私は、まだ真っ白で全く汚れのない雪景色に自分の足跡を付ける。
「まだまだ積もるよ。きっと」
『雪…私、好きです。はたけさんの髪の色みたいですね。綺麗です』
「…エリ…どうして、そんなに悲しそうに笑うの。俺は君のそんな顔見たくない。
話してくれるかな?ねぇ…今、何を思ってる?」
私の下手な笑顔では、カカシはもう騙されてくれないらしい。
しかし、彼に話そうにも。自分でもどうしてこんな気持ちになっているのか分からないのだ。
いや、それは違う。
きっと私は、分からないふりをしている。
『…華氷さん、綺麗な人でしたね』
「…一般的には、そうなんだろうね」
私はカカシの視線から逃げるように、ゆっくりと彼に背を向ける。
『はたけさんは、私以外にも…命を救っていたんですね。
私には、彼女の気持ちがよく分かります。
貴方に命を救われて、きっと…世界の中心がはたけさんで。
その貴方の為なら、命だって平気で投げ出せる。
実際に華氷さんも言っていましたね。はたけさんの為に、命を使いたいと。
それを、はたけさんは受け入れた。その覚悟を受け取った。そう言って。
ふふ、酷いですよ!私には、怒ったくせに。自分の命は自分の為に使えって。
なんだか、それが悔しかったんです。
私がなにか…不服そうに、悲しそうに見えたと思うならそれが理由ですよ。
ね?つまらない理由だったでしょう?』
私は、クルリと体を翻してカカシに向き直る。