第20章 苛立ちと独占欲と、寂しさと呪縛と
——point of view アカデミー非常勤の教員
ちょっと前から、ここアカデミーに非常勤の講師としてやって来た中崎エリ。
彼女は、異例中の異例で。上忍でもなければ忍ですらないらしいのに。特別講義の教鞭を取っているらしかった。
それはもう、当時は色々な噂が飛び交った。
エリート忍者の、はたけカカシの愛人だからだとか。
四代目火影の秘蔵っ子だからだ、とか。
そんな、全く現実味のない噂を信じる奴は馬鹿だ。
しかし、忍でもないのにアカデミーで働いている事はれっきとした事実。
一体どんな特別で素晴らしい人間なのだろうと俺を含め、周りの人間は全員身構えていた。
しかし、会ってみると別にどうって事ない。
ただの女だった。
ただの女だったが…。何故だか気になった。
雰囲気?顔?声?話し方?匂い?なんだろう。無性に全部、自分の物にしたくなった。
無茶苦茶に遊んで、今までの女みたいに捨ててしまってもいい。一回ヤッて気に入らなければ。
そんな胸中を、一番仲の良い同僚に話すと。なんと同じ様な思いを抱いていたのだ。
気の弱そうな彼女の事だ。きっと襲われたって言いふらす事も、おおごとにする事もないだろうと思った。
そんな軽い気持ちで、二人で今回の計画を立てたのだった。
案の定、疑いの気持ちを微塵も感じていないらしい彼女は。今夜のこのこ俺たちの誘いに乗ってきた。
でも…
まさか…
その後、
俺達の人生で最大級の、トラウマを残す事になろうとは。思いもしなかったのだった。