第17章 ※熱と不在と、再会と頭突きと
——point of view 木ノ葉病院のしがないナース
あれは、十月の半ばだったかしら。
ここ木ノ葉隠れ里の木ノ葉病院に、常連のカカシがまた姿を現したのは。
それ自体は特段珍しい事ではない。仕事柄 彼はよくここに入院するから。
でもその時は状況がだいぶ違っていた。
カカシが、女性を横抱きにして、彼女を診て欲しいと言ってきたのだ!
彼は人気があったが、女性の影は気持ち悪いほどなかったから。
まぁ上手く隠れて、遊びはしていたのでしょうけど。だって、あの色男が童貞などとは考えたくはない。
話が逸れてしまったが、その時抱えられていた女性こそが中崎エリ。
正直初めて話した時は、頭がおかしい人なのかなって思ってしまった。
この国の通貨を知らないどころか、忍の存在すら知らない彼女。
その他にもいま何年?この国の名前は?とか聞かれたっけ。
でも後でカカシに話を聞いて納得した。
彼女は記憶喪失に陥ってしまったらしい。
まぁそういう事態は、特に珍しい事ではなかった。でももっと気になった事がある。
それは、彼女の目。瞳の中に光はなく、なんの希望もなく。ただ虚を見つめていた。
彼女の事がなんとなく気にかかっていた。
あれ以来ここに来ていないし、姿も見ていない。
元気にしているのかしら…
なんて考えていた矢先の出来事。
彼女と再会した!
病院に駆け込んできた彼女は、肩で息をしてかなり焦っていた。何事かと驚いたけど、
彼女の目は、たしかに生気に満ち溢れていて。明らかに以前とは別人のように輝いてた。