第16章 桜と猪と、講義と欲求不満と
「男好き」
シカマルとの楽しい談笑が、すれ違った女生徒の心無い一言で。唐突にブチ切られてしまう。
『……ごめんね』
「アンタが謝る必要はねぇだろ」
『うん。でも、シカマル君にまで嫌な気持ちにさせてしまったと思ったから』
そんな事、考えなくていい。と彼は言う。
「でもあれだな。ほんと女ってこえー。俺は男に生まれて良かったと心底思うね」
『たしかに。面倒だよね。
でも今回の事に限っては、私にとってメリットもあるはずだよ。
ね、見てて?』
「メリット?」
私は、シカマルと共に職員室前にまで来ていた。
そしてここには、出席カード提出ボックスがある。
私は彼の前で蓋を上げた。すると…
「……なるほど」
バサバサと、溢れかえった出席カードが雪崩のように地面に落ちた。
『やっぱり、予想当たった…。
あ、すぐに大きい空き教室に変更しなきゃ』
「…やっぱ女こえー」
見事に倍増した出席カード。見事に女性の名前ばかりだった。
おそらくだがこれは全員、サスケかカカシの取り巻き。
渦中の私の顔を一目見ようと講義の参加を決めたのだろう。
「メリットか。アンタ、意外とたくましいな」
『…ざっと見て六十人は参加が確定した。これ全員、私からすればお客様だもん。
ふふふ…これだけ集まれば、今日の講義だけでかなりの授業料が…』
「たくましいなマジで!」
「エリ先生!」
シカマルが、私のたくましさに心底驚愕していると。職員室から勢いよくイルカが飛び出してきた。
「おっ…と、シカマルか。久しぶりだな。どうだ調子は?元気にしてたか?」
「どーも。見ての通りっすよ」
「あぁっそれどころじゃなかった!エリ先生!大変な事になってしまって…
すみません、俺があの新聞を止められてれば…」