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モノクローム【NARUTO】

第16章 桜と猪と、講義と欲求不満と



——point of view 春野サクラ



最近、私の好きな人の様子が変わったと感じてた。

いや変わったっていっても、良い意味で。


彼を包んでいた黒くて重くて冷たいオーラが和らいだ気がするし、話しかけても突き放される事が減った。

いのも同じ事を思ってたみたい。

二人で話してた。
どうしたんだろうねって。もしかすると、私の愛の力がついに彼の心を溶かしたんじゃ!

なーんて思い上がったりなんかもした。まぁまったくの見当違いだったんだけど。


彼が変わった。その本当の理由…

それは直接。彼女を見た時に気が付いた。


彼女は新しい先生で、食育という教科を講義するらしい。


彼女に触れる彼は、いつもの彼と別人だった。

まるで、壊れ物を扱うかのような 繊細な物を愛でるみたいに。

その指先からは確かに愛が溢れていた。


彼女を見つめる彼は、いつもの彼と別人だった。

まるで、十年も連れ添った恋人を見つめるような 宝物を見つけたみたいな。

その視線には、確かに愛が溢れていた。


そのたったの一瞬で、私達は分かってしまったんだ。

彼を変えたのは、この人だったんだって。


だって、私達はずっとずっと貴方だけを見てきたんだから。それくらいはすぐに分かるんだから…。

どうか、どうか遠くに行かないで。

振り向いてくれなくてもいい。でもどうか、

私達から離れていかないで、お願い。

お願い…。

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