第14章 ピンクの矢印と、食育と先生と
「食育?」
サスケが聞き慣れない言葉に反応する。
そうだ。この世界、この時代には 食育という言葉は普及していないのだ。
『生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの。
っていうのが、食育の定義。
あの、ミナトさん…
私でよければ、使って下さい。よろしくお願い致します』
「え、それってプロポーズの返事」
「「違う!!」」
何故か私が否定する前に、二人が返事をしてくれた。
「…冗談だよ。
引き受けてくれてありがとう。嬉しいよ」
『あ、あのでも私、資格とか持ってないんですけど…』
教員免許もなく、突然教師が務まるのだろうか。
心配事は尽きない。
たしか、アカデミーで講義をしているのは上忍のはずだ。私はそもそも忍ですらないのだが。
「資格?大丈夫だよ。ここでは俺が法律なんだ。
俺が黒と言えば、白も黒だ」にやり
…その言い方を聞く限り、私は脱法行為の片棒を担がされるようではないか。
『だ、大丈夫なんですか?私、忍ですらないんですけど…』
「平気だよ。君のその教養は、上忍の知識より専門的で貴重だ。きっと需要がある。
俺が保障しよう」
ここまで強く断言されてしまうと、なんだか少しは安心である。
うまく乗せられているような気もするが、希望が持てるではないか。
「詳細は追って連絡するよ。まぁとりあえず初講義は二週間後が目標かな。
受講者集めて、教本刷って、講義の練習して…」
二週間。私の中では準備期間が少ないような気がするのだが…。ここではそれくらいが普通なのだろうか。