第11章 鰹と抱擁と、仲直りと告白と
私にあてがわれた部屋は、二階に位置している 南向きの日当たりの良い場所にあった。
今日は初日という事もあって疲れた。
お風呂を頂いてすぐに布団に入る。
しかし…
『……』
見慣れない天井。嗅ぎなれない匂い。
同じ屋根の下に二人はいない。
そのどれもが私の寂しさを加速させた。
いや、カカシの家を出たいと言い出したのは私なのだから。何を甘えた事を言っているのか。
私は寂しさを振り払うようにブンブンと頭を振った。
大丈夫。大丈夫。大丈夫だ。
会おうと思えばいつでも会える距離。
と、考えたのだが…
カカシと気まずいまま出てきたのを思い出す。
『…やっぱり、きちんと仲直りしてから出てくるべきだったな』
後悔、先に立たずである。
その時、
ギィ、ギィ。
と、聞きなれない音が廊下から聞こえた。瞬時に現実へと引き戻される。
『!?』
少しすると、また同じ音が。
しばらくすると鳴り止み、しかしまたすぐに聞こえてくる。
どうやら、木造りの廊下を誰かが歩く音らしい。
しかし、何故こんなに往復する必要があるのだろうか。行ったり来たり。行ったり来たり…。不自然にも程がある。
誰かが、私の部屋の前を徘徊している?
いやでも、何の為に…。私の部屋に何か用事でもあるのだろうか。
気にはなったが、部屋の扉を開けて確認する勇気はない。
眠気が全くない状態ではあったが、私は頭から布団をこっぽり被ると。無理矢理に目を閉じた。