第12章 押してダメなら引いてみる
釣り場に着き、エルヴィンはバケツの中の魚を海へ返す。
私もエルヴィンの隣へ行く。
エルヴィンは海を見ながら「…ここの景色は綺麗だな。障壁がない、巨人がいない世界は広いな。」と言う。
私も海を見て言う。「綺麗ですね…見渡しても辺り一面が海。私達にはいつも壁がありますもんね。」
波の音が心地よい。壁の外はこんなにも広かったものか。もっと早く知りたかった。そうすれば巨人と戦わずに平和に暮らせる。なぜ巨人が私達の島に来るのかわからないが…。
私が話し終えるとエルヴィンは
「…おにょ、昔の記憶は戻ったか?」とこちらを寂しそうに見る。
記憶はまだ戻っていない。
「いえ、戻りません。いつ戻るんでしょうね…。でも、戻ったとしてもそんな大差はないと思いますよ?」私の事を気にしてくれている。
「…そうか、早く戻るといいな。記憶が戻った時は…。何が起こるかわからないが、1人で抱え込むことはやめなさい。辛いことがあれば私に相談すればいい。兵士が1人でも掛けてしまったら調査兵団は機能しない。」と、エルヴィンは言った。
「…ありがとうございます。」私はそう言い、海を見る。
(私の事は兵士としてしか見てくれてないんだ…せっかく2人きりになれたのに、やっぱりイルゼさんの事が好きなのかな?)
「…もうすぐ島に着くな。何かしたいことはあるか?」
私はエルヴィンにそう聞かれた。
特にしたいことなどない。強いて言うならエルヴィンと居れればそれだけで十分だ。他に何があるか…
「あ!美味しい食べ物食べたいな。この前二ファから聞いたんです。この島には美味しい食べ物がいっぱいあるよって。だから美味しい食べ物を食べてみたいですね…。あと、お土産も買いたいです!」島に着くことが楽しみであるが何があるかわからないから少しドキドキもする。
「なんか楽しみになってきました!
団長は何するんですか?この島で何します?」と聞いてみた。
「特に何するとは考えてないがどういう島か調査はしようと思っている。」とエルヴィンは言う。
「おぉ、そうですか…でしたら私も暇でしたら手伝いますよ!
そろそろ戻ります?お昼ですし」
(調査か…さすが団長。)
「…そうしよう。」
そう言って2人で並んで食堂まで歩いていく。