第2章 悪夢
「はぁ〜!楽しかったぁ。奏音さん、ありがとうございました!」
『いえいえ!私こそ楽しかったです。
樋口さん、ほんとに話易い方で…』
「なぁ姐さん、これって片付けるの何処だ?」
立原を含む黒蜥蜴の面々は、今日のお茶会で使ったティカップを片付けているところだった。
『ん、立原もありがとうね。また銃の話聞くわ。』
「お!楽しみにしてるからな!
元気に頑張れよ。辛くなったらまた此処に来れば良いから。」
『………立原のくせに優しい…』
そう云って奏音は頬を微かに紅く染めた。
「そうかよ!ははっ!また今度な!」
名残惜しさを隠し乍奏音は黒蜥蜴の本部を後にした。
◇◇◇◇
「あれ?おーい!奏音ちゃーん!!」
本部から少し歩いた所で耳を刺す様な明るい声が廊下に響く。
『…澪ちゃんと、中也に…太宰さん。』
弱々しく手を振る奏音。
「ん?奏音手前、如何したんだ?
元気なさそうじゃねェか。」
『中也…大丈夫。久々に此方に居るから少し疲れたのかも。執務室戻るわね。』
奏音は最後に太宰のことを一瞥してからその場を去った。
「…ねぇ中也。あの子、自分の執務室あるの?」
彼女が立ち去ってから少しした後、顔を強ばらせた澪がそう尋ねる。
「あァ。まァ…彼奴はかなりの強者らしいしな。」
「………私、執務室無いのに。」
「そりゃ手前がサボってばっかだからだろ!
真面目に働きャちゃんと執務室は戻ってくるわ。」
そう云って中也は澪の頭をグリグリと押した。
その後も廊下には賑やかな笑い声が響いたのだった。
◇◇◇◇
────────その日の夜。
「私だ。入っても良いかい?」
そう云って奏音の部屋の戸を叩くのが一名。
『はい。どうぞ。』
声だけで誰か判断した奏音は少し体勢を正す。
「申し訳ないね。こんな夜分に。」
『いえ、気にしてませんよ。
それより……
首領、どうされたんですか?』
そう、奏音の部屋の戸を叩いたのは鴎外だったのだ。
「……今は首領って呼ばなくて良いよ。」
普段見せない様な優しい笑みを浮かべる鴎外。
『良いん、ですか、?