第2章 悪夢
太陽の光も暖かな昼下がり、
太宰、中也、澪の一行は冷たい倉庫の中に居た。
「……折角の一日休暇なのに…」
「あァ。だが全て首領の指示だからな。
素早く終わらせちまおうぜ。」
澪と中也が急いで倉庫内のコンテナを動かしいている一方、太宰はコンテナの上に寝転がっていた。
「………おィ太宰。手前は何故何もしねェンだよ。」
「……待ってるからさ。
───── 天罰を、ね。」
太宰は空を仰ぎ乍そう云い、倉庫から出て行った。
「…何云ってんだ彼奴。
なァ澪、これで最後か?」
「うん。ありがとう中也。」
二人がコンテナを移動させ終えると、中也の電子端末が震えた。
「もしもし。中原です。」
「中原君、済まないね。」
電話の相手は鴎外だ。
受話器から漏れる声を澪は必死に拾い上げる。
「…もしかして未だ行ってもらった倉庫に居るかい?」
受話器からの声は少し焦りを含んでいる様にも聞こえる。
「…はい。つい先刻コンテナを移動させ終えました。」
「拙い。三人共急いでそこから出るんだ。
直ぐにだよ。良いね?」
そう念押しをして鴎外は一方的に電話を切った。
「……澪、取り敢えず此処から出るぞ。」
中也は澪の手を引いて倉庫から出た。
その直後、彼らの背後で倉庫が爆発したのだ。
外からは数台のコンテナが砕けて舞っているのも見えた。
「……だから首領は…」
中也の口からは溜息の様な言葉しか出てこなかった───。
◆◆◆◆
薄暗い路地裏を、一人の若者が歩く。
コツッコツッ…と靴の音を響かせながら。
「…此処に居るんだろう?
───────業君。」