第2章 悪夢
銀?!真逆、銀ちゃんも此処に居るの…?
『ち、ちょっと待って、銀ちゃんも此処に居るの、?』
「あぁ、居るぜ。彼奴すげぇ無口だけど。」
私の知っている銀ちゃんとは少し違う?
否、でも"銀"なんて名前、そうそう被らないだろう。
龍之介の妹の銀ちゃん。
龍之介は銀ちゃんをとても大事にしてたから手放さないと思ってたのに。
立原が叫んで間も無く、髪を一つに束ねた銀ちゃんが部屋に入ってきた。
「……え………奏音、さん?」
久しぶりに聞いた銀ちゃんの声は相変わらず綺麗で、透き通る様だった。
『うん…久しぶりだね、銀ちゃん。』
「兄さんは…兄さんにはもう逢われましたか?」
銀ちゃんは少しそわそわし乍聞いてくる。
『ん?未だだけど…』
逢いたくない訳じゃなく、唯々縁が無くて一度も逢えて無いのだ。
「兄さんに…逢ってあげて下さい。兄さん、奏音さんの事、ずっと探していたんです。」
銀ちゃんから聞かされた事実に驚きを隠せなかった。
龍之介は私が消えてから何年も機会があれば私を探していてくれたこと。
治から私を守るように云われていたこと。
他にも沢山のことを銀ちゃんは教えてくれた。
────龍之介に逢わなくちゃ。
その一心で黒蜥蜴の本部から立ち去った。
【奏音side fin】