第2章 悪夢
「紹介するよ。奏音ちゃんがいない間にポートマフィアに入った澪ちゃんだ。」
「澪です!よろしくね!」
黒髪に茶髪混じりのボブに、碧眼を持ったその少女はとても綺麗だった。
『よ、よろしくね。私は奏音。』
「わぁ…綺麗な亜麻色の髪に碧眼ね!
私と瞳の色、一緒なのね!」
澪は親しげに話しかける。
『あ、ありがとう?』
その気迫に押されてか、少したじろぐ奏音。
「ほら澪。奏音ちゃんが引いてるから。」
それを庇うように太宰は澪を制した。
「治!久しぶり!
中々会えなくて寂しかったのよ!
ねぇ首領!今から私と中也と治の三人で一日休暇を貰えません?」
嬉々とした表情で喋る澪は、迚輝いていた。
「うーん…久しぶりに澪ちゃんが顔を出してくれたし……うん、良いよ。でも今日だけだよ?」
「やったぁ!ありがとうございます!」
澪は二人の手を引き乍部屋を出ていこうとする。
『あ、あの!』
出ていく寸前で奏音は澪等を引き止めた。
「ん?
あ!奏音ちゃんも行く?」
『それは良いの。でも…一つ聞きたいんだ。
───貴女の異能力って、何?』
誘いをあっさりと断り、要件を重厚感のある声で云う奏音は少し焦っていた。
「ん〜?私の異能?
こんな感じの!」
そう云って澪は踵を地面に叩き付けた。
すると、見事な氷の柱がそびえ立ったのだ。
『…そう。ありがとう。』
その一言を聞き終えるや否や澪は二人と一緒に首領室を出ていってしまった。
「……どうだい?」
鴎外は何時の間にか奏音の背後に立っていた。
『…何とか上手くは………無理です。』
奏音はお手上げといった感じで肩を竦めた。
『あんな気さくにいきなり…私には到底理解出来ないです…。』
「そうか…じゃあ未だ君たちを組ませるのは辞めておいた方が良策かな?」
鴎外は少し眉を下げて云った。
『ええ。申し訳無いですけど、お願いしたいです。』
奏音は軽く一礼をして首領室を後にした。