第2章 悪夢
『た、確かに。じゃあポートマフィアにいる間の私は"夢"って事、?』
《そうだね。君は常に夢を見てる。
で、今は夢から醒めて、僕と話してる。
それが真実だよ、奏音。そろそろ夢から醒めて現実と向き合うべきじゃ無い?
流石の僕でも待ち倦ねちゃうなぁ。》
何時も以上に饒舌な業の話術に持っていかれそうになっていた時、不意に真っ暗だった世界に光がさし始め、空が硝子のように割れ始めた。
《うわぁ…邪魔者だねぇ。
君、また太宰と接触したの?》
『し、したわよ。悪い?』
ばつが悪くなって突っかかる様に答える。
《…何君がムキになってるのさ。約束を破ったのは君だろう?
僕はもう君を守ることは出来ない。
君の方が僕より強いからさ。心の芯は確かに、ね。これが僕からのアドバイスさ。
あ、あとその可愛気の無い口調、辞めなよ。
昔の口調のが……僕は好きだから。》
悲しそうな笑顔を浮かべて、辛そうに笑う業。
そんな顔がさせたい訳では無いのに。
「────奏音ちゃん!!!」
割れた隙間から顔を覗かせたのは、太宰さんと中也だった。
『え、待って業!一緒に行こうよ!』
《無理だね。僕は闇の住人。また逢いたくなったら呼びな。
直ぐにでも……闇の世界へと引きずり込んであげる。
………覚悟してよね。僕は、君に呆れるほど惚れて、執着してるんだから。》
そう云って不気味な笑みを残し、業は闇に溶けていった────。
【奏音side fin】