第1章 情報屋X
FBIと公安の会議が開かれる当日
私はホテルのロビーに
備え付けられているソファーに座り
彼女がやって来るのを待っていた
しばらく待っていると
彼女が現れた
私の読み通りだ
後ろから彼女に近付いて
声をかける
『いらっしゃい』
彼女「わっ!は、はい、
いらっしゃいました!」
盛大に驚いている彼女に対して
可愛らしくて笑みが零れた
ホテルのエレベーターに乗り
部屋まで彼女を案内する
彼女をソファーに座らせると
私は向かい側のソファーに座った
『よく来てくれたわね』
彼女は持ってきたバッグを握り締めて
警戒心を剥き出しにしていた
そりゃあ…警戒もされるか…
『そんなに警戒しなくても
食べちゃったりしないわよ
ゆっくり、お話でもしましょう』
彼女「は、はい…
あの…私の事を
どこまでご存知なんですか?」
『そうね、大体の事は
FBIの彼氏さんの事も…
組織を捕まえようと頑張っている事も』
彼女「そう…ですか
あの…降谷さんとは
どういう関係なんですか?」
『それは秘密よ。
…貴女にこれを託すわ』
私は話を切り替えて
組織の情報の全てが
入っているUSBメモリを彼女の
前に差し出した
彼女はUSBメモリを手に取り
それを見つめた
『組織の全てがそこに入っているわ』
彼女「わ、私…
代わりに渡せる様なお金も
何も持ってませんよ…!」
情報屋Xの噂の一つ
取引には膨大な金額が必要
その事を聞いていたのかしら?
『お金は要らないわ
ただ、組織を壊滅出来るかは
貴女次第よ』
彼女「こんな大事なもの…
私に渡しても大丈夫なんですか?」
一対一で話をしに
ここへ来てくれる人は貴女しか居ないのよ
私は"イエス"の意味を込めて
微笑んだ
.