第10章 野山のお月見
「そこにゴンさんは居なかったの?」
うさぎさんの質問にゴンさんは照れ笑いをしています。
「ゴンさんも助けたり助けられたりしてるのよ」
横からエミリーさんが教えてくれました。
「だからみんな仲が良いのね」
うさぎさんはうんうんと頷きながら言いました。
「そうじゃ、ジョーよ
ちょっと一曲歌ってくれんか?」
源さんがジョーさんを呼びました。
月はちょうど山の真上辺りに昇ってます。
「え?ジョーさんが歌うの?」
うさぎさんは驚いてます。
「ジョーさん上手いのよ
まぁ滅多に歌わないけどね」
エミリーさんがウィンクしながら教えてくれました。
なんと、ノラさんがギターを弾き、ゴンさんがドラムを叩いています。
少ししゃがれたジョーさんの歌声は哀愁に満ちたバラードに良く合っています。
『月明かりに照らされた♪
寂しい顔を見ていると♪
ただ守ってやりたいと思った♪
その悲しみが消えるなら
その寂しさを消せるなら♪
月に向かって歌うよ♪
MoonlightBlues♪』
仲秋の名月の夜に響き渡るジョーさんの歌声は、みんなの心を癒しました。
うさぎさんは、故郷の月見が大好きですが、この野山での月見も大好きになりました。
つづく。