第10章 野山のお月見
昼下がりの穏やかな秋の陽射しが木漏れ日となって注いでいます。
今夜は仲秋の名月。
「今年もお月見の季節になったわね」
うさぎさんは故郷のお月見を思い出し、しんみりと呟きました。
「お~い、うさぎさ~ん」
そこに梟の源さんの孫、総次郎さんが飛んで来ました。
「あら総次郎さん、久しぶりね」
「おジィが呼んでるよ
広場に来てくれるかな?」
「分かったわ」
総次郎さんは返事を聞くとすぐに戻って行きました。
「源さんが呼んでるって何かしら?」
うさぎさんは広場に向かいました。
「おっ、うさぎさんじゃねぇか」
途中で狼のジョーさんに会いました。
「あっ、ジョーさん
珍しいですね」
「おう、源ジィがみんなを集めてるらしくてな、俺も呼ばれたんだ」
「そうなんですか…
何があるのかしら?」
うさぎさんは首を傾げました。
広場に着くとジョーさんが言った通り野山のみんなが集まっていました。
「うさぎ~、ジョーさんと一緒だったの?」
リスのエミリーが近寄って来ました。
「えぇ、来る途中でばったり会ったのよ」
「へぇ~そうなんだぁ、途中でねぇ~」
エミリーさんは少し大きめな声で返事をしました。
傍で山猫のノラさんの耳がピクピクとしています。
ジョーさんは苦笑いしていますが、うさぎさんは首を傾げていました。