第9章 梅雨時
「雨がしとしと…
やぁねぇ」
リスのエミリーさんが恨めしげに空を見上げて呟きました。
「梅雨だもん、仕方ないよ」
うさぎさんが紅茶を淹れながら答えました。
「ちは~洗濯屋で~す」
やって来たのはアライグマのマコトさんでした。
「マコトさん、ちょうど良かったわ
これお願いしますね」
うさぎさんは洗濯物をマコトさんに渡しました。
「よかったらお茶飲んでいきませんか?」
「お邪魔したいとこですが、この時期は忙しいんすよ
まいどあり~!」
マコトさんは洗濯物を預かり帰っていきました。
「マコトさん忙しそうね」
「マコトはケイ子に頭が上がらないからね」
うさぎさんは首を傾げながら聞きました。
「どうしてなの?」
「マコトは昔、いたずらばかりしてたのよ
しかも、ゴンさんにまでいたずらして怒らせちゃたの…」
エミリーさんは紅茶を一口飲み話を続けました。
「ほら、ゴンさんって怒ると凄いでしょ
マコトが謝っても収まらなかったのを、ケイ子が一生懸命に謝って許してもらったのよ」
「へぇ~そんな事があったのね
なんか羨ましいわ、そんなに想われてるなんて…」
うさぎさんは溜め息を一つ吐きました。
「あら?うさぎにも一生懸命なのがいるじゃない♪」
エミリーさんはウィンクしてみせました。