第4章 ブレスレット
『い、嫌だ、嫌だ……お兄ちゃん、待って…』
敦は自身の反り勃ったモノをの秘部に当てた。
『……っ!』
入れない。そう言ってくれたが、やっぱりどうしても怖い。
あの部屋で起こった太宰との出来事を思い出してしまう。
『(……怖いっ)』
ギュッと目を閉じると、無意識に涙が出てポロポロと零れてきた。
ブルブルと震える細い腕で、敦の身体を押した。
押し倒されていた体勢から身体を起き上がらせた。
手と脚、全身が震えていて上手く立てなかったが、はすかさずバタバタとトイレに駆け込んだ。
「…っ」
敦に呼ばれるが、は応えない。
バタンッとトイレのドアを閉めて、鍵をかけた。
はあはあ、と息があがる。
トイレの中に入ると、敦が謝る声が聞こえた。
「ごめん、…の気持ち考えないで…僕は…」
『ううん、……お兄ちゃんは、何も、悪くないよ…』
ドア越しに、途切れ途切れで言った。
は知らない内に、あの出来事がトラウマになっていた。その事は自身はまだ気付いていない。