第2章 一章
柔らかな日差しの4月。満開になった桜は、風によってひらひらと宙を舞う。
96「なーおー!」
そんな美しい風景には不相応な、大きな声が聞こえる。
周りの目も気にせず真っ直ぐに、ある少女へぶつかってくる。
96「おはよ!」
凪「おはよ棗。朝から元気なのはいいけど気を付けなよ?俺じゃなけりゃ吹っ飛んでた」
96「凪緒を見つけたら嬉しくなってな!つい!」
凪「そ。それより、クラス表見た?」
96「見た!また一緒やったな!今年もよろしくな!」
凪「うん、今年もよろしく」
今日は2年生最初の登校日。棗と俺は2-A組になった。
?「あ!2人ともいたー!」
突然声がし、周りを見渡すがそれらしき人はいない。「こっちこっち!」と再び声のした方へ顔を向けると、校舎の2階から天月こと天宮翔太が顔を覗かせていた。
96「ツッキーどしたー?」
凪「どうしたじゃない。今から始業式と明日の準備があるって昨日言ったよね?」
96「あ、忘れてた...」
天「いいから!僕とモブちゃんだけじゃ手が回らないから早く来て!」
翔太が窓から離れ、姿が見えなくなる。本当に忙しいようだ。
登校初日から忙しいのは生徒会に入っているから仕方ないものの、こうも駄べる時間が無いと嫌気がさす。
凪「さっさと終わらせよ」
96「終わったらタピオカ飲みに行こ!」
凪「おう」
時間はお昼過ぎ__
始業式が終わり、ほとんどの生徒が帰った後。
凪緒達生徒会は明日の入学式の準備をしていた。
準備と言っても、新入生の人数分の椅子と挨拶は既に出来ているため、コサージュの数のチェックをするだけだ。
96「ツッキ〜後どれくらい〜?」
天「んっとね〜...あ、もう終わるよ」
凪「じゃあ、コサージュのチェックが終わったらお開きにしよう」
96「やったー!ツッキー!早く終わらせるぞ!」
天「ラジャー!」
それからおよそ10分ほどで全ての作業が終わった。
時刻は午後2時30分。今から街に出れば、タピオカを飲む頃には丁度おやつ時だ。
凪「みんなお疲れ様。今日はこれで終わりだが明日からまた忙しくなる。気ぃ引きしめて登校してくれ」
「「「はい!」」」
凪「じゃ、解散」
俺の言葉を合図に、みんなぞろぞろと生徒会室を出ていく。
96「ワシらも帰るで!」
凪「うん」