第2章 天国か?地獄か?
「ここは地獄と言っても過言じゃない…」
私の呟きに案内人は首を横に振った。
「いえ、どちらかと言えば天国だと思います」
「何故?常に監視され審査されている状況が天国ですか?」
「ここにいると分かりますが、人間界の方が地獄の様なものです
人間界でも監視され審査されてるし、妬まれたり、恨まれたり、裏切られたり…ありとあらゆる負の感情があります
ここではそう言った負の感情は審査対象となるので誰も心の底から思わなくなるのです」
「それってマインドコントロールの様なものでは…」
私には納得しがたい話しだった。
「そうかも知れませんね
ただ、ここの審査に嘘や建て前は通用しません
こうやって会話してますが、これは言葉ではなく直接精神が触れ合っているので、思った事が相手に伝わるのです
常に本音で語り合うのは人間界では難しいと思いませんか?」
案内人の言ってる事は正しいと思うが、何か納得がいかない。
多分私はそんな顔をしていたのだろう。
「まあ、ここで過ごせば分かると思います
転成するのは簡単ですが、ほとんどの人は転成を望んでいませんよ
何か質問はありますか?
案内人の知識があるうちは何でも答えられますよ」
案内人の言葉に私は「ちょっと待って」と暫し考えた。