第1章 死んだらどうなる?
「でも、案内人なんて役割簡単には…」
私の疑問にも丁寧な答えが返ってきた。
「時間の概念がないのでどれくらいとは言えませんが、私も差ほど長くいる訳ではありません
ですが、近くに新しい魂が現れると、案内人としての知識と意識が沸いて来るのです
もう、あなたで四人目ですよ案内するのは…」
私もやっと平常心を取り戻した。
「その不思議な現象が神様の仕業では?」
「そうかも知れませんが、誰も見た者はいません
しかも強制ではありません
やりたくなければ案内人の知識も意識も別の魂に移ります
私も一番最初は拒否しました」
老紳士は苦笑いをしている。
「案内人の説明はこれくらいでよろしいでしょう
ここへは肉体から抜け出さないと来れません
ですから、たまに死んでない魂もやって来ますが、それはすぐに肉体に引き戻されます」
「死にかけた人があの世を見るって、ここですか…」
私の呟きに老紳士が答える。
「正確にはここであってここではないのですが…」
私は首を傾げた。
「あなたには私やここはどんな風に見えますか?」
逆に質問された。
「あなたは執事みたいな格好をした老紳士…
ここは光り輝いている場所です」
老紳士は何故か苦笑いしている。
「私が死んだ歳は四十三歳で、ここは私には河原に見えてます」
「どういう事ですか?」
私は頭がこんがらがってしまった。