第3章 転生
「そろそろ案内人の時間は終わるようです
あなたがこの世界でどう過ごすかはあなた次第です
それでは…」
案内人はスッと姿を魂に戻し、他の魂に紛れて行った。
私はしばらく動く事が出来なかった。
周りにはたくさんの影の様な魂が行き交っている。
世界中の亡くなった人の魂が集まるのだから数え切れない。
私の様に平穏に生きてきた人ばかりじゃない。
若くして病気や事故で亡くなる…。
兵士として戦争で亡くなる…。
戦火の犠牲で亡くなる…。
犯罪者として処刑、殺人、自殺…。
死に至る経緯は様々だろう。
しかし、そんな事に関係なく魂は平等にこの世界に来る。
ここでは年齢も性別も、学歴や肩書きも、見た目すら関係ない真の平等があるのかも知れない。
私は身近にいる魂に話し掛けた。
「ちょっとお話しいいですか?」
この人は若くして交通事故で亡くなったそうだ。
亡くなった年代は私より20年前、人間界で20年間といえば生まれた赤ちゃんが成人になる。
「もう、そんな年月が!?」
その人はまだ数時間程度にしか思っていなかった。
時間の概念がないので、疲れる事も、お腹が空く事も、眠る事もない。
私は転成について聞いてみた。