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鬼滅の刃☆短編☆

第1章 実弥との出会い


「お前が、いなくなると思った。」
『え…?』
「10年前に、まだ小さかったお前を助けたのは俺だ。」
『はい、』
「だが、お前の母親や村人を助ける事ができなかった。」
『…はい、』
「重傷を負ったお前を見た時、何も出来ない自分に腹が立った。助けたいのに助けられねェ。」
『…師匠。』
「助かったと頭で分かってても、消えちまうんじゃねェかと思った。」


ぽつりぽつりと話す実弥の言葉を、雪は静かに聞く。鬼との戦いで分かった10年前の出来事。助けてくれた隊士は誰なのか…雪は顔も名前も分からない人物をずっと探していた。

それが、自分を育ててくれた師匠である不死川実弥だと分かった時、雪の気持ちに変化が起こる。


『…私を助けてくれたのが師匠だと言うのは、鬼との戦いで知りました。』
「……」
『私は師匠の元でたくさんの事を学び、たくさんの人との縁を繋ぐ事が出来ました。」
「あぁ。」
『ずっと、師匠に感謝していました。師匠のような隊士になりたいと、ずっと背中を追っていました。』
「そうか。」
『師匠の側に居たいと思うのは、憧れからくるもので力になりたいからだと思ってました。でも、違ったんです。』


いざ伝えるとなると、自然と布団を握る手に力が入る。
実弥は雪の言葉を待っているのか、何も言わずにただ黙っていた。


『私は師匠の事が好きです。』
「…っ!」
『出来る事なら、ずっと師匠の背中を見ていたいです。』
「背中なんか見るんじゃねェ。」
『…そう、ですよね……』


雪の告白に実弥は目を見開く。
頬を赤く染め、伏し目がちな表情をする雪を目の前に、思わず言葉が出る。

そんな実弥の言葉を勘違いしたのか、頬を染めた表情から悲しげな表情へと変わる。そんな雪に、今度は実弥が気持ちを伝える。


「勘違いすんじゃねェ。」
『え?…』
「後ろじゃなくて隣にいればいいだろうォが。」
『、…それは…』
「俺もお前が好きだ。」
『…っ…』
「俺の隣にいろォ。二度と離れるな。」
『っ、はい!』


自然と2人の手が重なる。昨日までの騒動が嘘のように穏やかな時間が2人の間に流れる。

.
.
.


鬼が残した言葉。
"まだ使えない"
これがどういう意味なのか…それが分かるのはもう少し先の事…。


Fin.

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