第6章 無限列車〜救済〜
『無限列車…?』
「あぁ、短期間で大勢の人が行方不明になっているそうだ。」
『師範が呼ばれるということは、十二鬼月でしょうか?』
「分からん!だが、その可能性は多いにあるだろう。そういう訳で、明日から留守にする!」
『……』
お館様に呼ばれた杏寿郎が、羽織りを脱ぎながら継子である雪に説明をする。その話を聞きながら、雪は黙り込む。
「どうした?」
『師範…その任務、私も同行します。』
「ダメだ!お館様からの命が無ければ連れていけん!」
『でも!何か嫌な予感がするんです!』
「ダメなものはダメだ!」
『むぅ……』
食い下がるも、杏寿郎の答えは変わらなかった。
『んん〜!!師範は一度決めたら曲げないからなぁ!』
杏寿郎が部屋を出て行った後も、ずっと考えていた。いつもなら何も思わず見送るのだが、今回は話を聞いてからずっと心に引っかかるものがあった。
『お館様に直談判に行くか…いやいや、門前払いを受けるだろうし、師範の耳にも入るだろうから無理か……鎹烏に文を頼む?いや、お館様からダメと言われたら本当に動けなくなる…』
考え抜いたすえ出した答えは、
『よし!先回りして、無限列車に忍び…乗車しよう!』
我ながら良い案だ!と雪は早速準備に取り掛かった。
「む?雪も任務か?」
『はい、鬼らしき物が出たと情報が入ったそうで、私が向かうことになりました。』
「気をつけて行ってきなさい。」
『はい!行って参ります。』
何とか杏寿郎にバレることなく、雪は炎柱邸を後にした。
向かうは、杏寿郎が乗る駅の3つ手前の駅・・・先に乗車して、杏寿郎と合流する考えだ。
『(仮にバレたとしても、帰る方向が一緒だから巻き込まれたとでも言えばいっか…)』
駅のある街に到着し、無事に目当ての無限列車に乗車することが出来た。杏寿郎にバレるわけにはいかないため、最後尾の一番後ろに隠れるように座ってその時を待つ。
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しばらくして、杏寿郎が乗る駅に停車した。
気配を消して当たりを探ってみたが、後方車両に杏寿郎が乗った気配は無かった。
『よし!無事に合流出来そう。』
「雪は前の車両を確認しながら、どこに杏寿郎が乗っているかを確認しようと席を立った。