第1章 市立中央図書館?
私は口をパクパクさせるだけだった。
(うっ、うさぎが喋った?
うさぎって喋ったっけ?
着ぐるみ?ロボット?
え~っと、え~っと…
落ち着け!私!
うさぎは喋らない!うさぎは喋らない!
きっと誰かが近くにいるのよ!きっとそうよ!
私を驚かせようとしてるのよ)
私はキョロキョロと辺りを見回した。
「誰かいるんでしょ!?」
返事はなかった。
ちょん、ちょん…
私の足を何かが小突いた。
「もう、いいかな?
僕はこの森の図書館の司書ミケラン、君は人間だよね」
「ひゃっ!」
私はその場に尻餅を突いてしまった。
「うさぎ…喋るうさぎ…
お化け?妖怪?
私、食べられちゃうのっ!?」
そのまま後退りした。
「お~い、僕はお化けでも妖怪でもないし、ましてや君を食べたりしないよ」
言われて見れば、確かに普通のうさぎにしか見えない。
でも、喋るなんて普通じゃない。
「そ、そんなの信じれるわけないでしょ!」
私は持っていた鞄を盾のようにした。
その時、ミケランの後ろの扉がまた開いた。
ぎぃー
「よう、ミケラン
今日のオススメはニャんだ?」
入って来た猫は普通にミケランに話し掛けた。
「ね、猫が喋ったぁ!?」
私は自分の目と耳を疑った。
「ん?ニャんで三丁目の石田さんちの子がいるんだ?」
猫は私の事を知っているようだった。