怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第6章 始まった学校生活
学校生活は想像よりもあっという間に過ぎていった。
呪術の授業に組手の訓練、術式の試験。
色々あったが、優秀だからと許嫁候補に選ばれた事もある私にはついていく事が難しくなかった。
ただ、後ろの彼はそうではなかったのだ。
グレン
「ぐぁっ」
今は学校の校庭で行われている全校演習の真っ最中。
私は十条家の娘の十条 美十(じゅうじょう みと)と組まされてしまい、その攻撃を受け流しながら周囲を観察していた。
するとグレンが五士家の息子である五士 典人(ごし のりと)に思い切り殴られ、倒れてしまったのが目に入ってしまう。
五士
「ったく、こんな弱ぇの相手じゃ訓練になんねぇよ」
金色の髪に軽薄そうな態度をした垂れ目の男はニヤニヤと笑いながらグレンを見下ろしていた。
五士の取り巻き1
「むしろ殴った手が汚れて困りますよねぇ」
五士の取り巻き2
「先生に言った方がいいんじゃないですか?こんな奴と一緒のクラスでいたら全員の指揮が落ちるんじゃないかって」
普段から五士の取り巻きとしていつも傍にいる男子生徒達がここぞとばかりにバカにする。
五士
「そりゃいいな。弱い奴がエリートばっかりのこのクラスに紛れてんのがそもそもおかしいしな」
グレン
「………」
そんな彼らを見ながら黙って体を起こしたグレン。
彼の唇の端は殴られた事で切れ、血が出ていた。