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怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】

第4章 子供時代




別に考える時間など与えずに、さっさと殺せばいいだけの話だ。
時間がないのなら尚更そうすべきだろう。

でも年配の男性は私に考える時間を与え、この人は私を説得している。
あの施設から誘拐するのは大変だろうが、こうして上手くいったのだからやれない事もないはずだ。


若い男
「君はたまたま選ばれたと思ってる?」

「うん」

若い男
「それは違うよ」


でもそんな私の考えを見通して、彼は否定した。


若い男
「僕らは適当に選んだんじゃなく、ちゃんと許嫁候補や他の子達から君1人を見つけたんだ」

「…髪色?」


髪色は似ている。
そんな風に男性が言っていたはずだ。


若い男
「確かにそれもある。でもそれだけじゃない」

「………」

若い男
「人を殺せなんて酷い事を頼んでいるのはわかっている。それでも引き受けて欲しいんだ」


そう言って彼は私に頭を下げた。
ここまでして私に復讐をして欲しいのかと少し驚く。

両親にすら必要ないとされた私。
そんな私をここまで必要としてくれる零崎家の人達。


「私でよければ…」


その熱意に負けて私は引き受ける事にした。
全ては誰からも必要とされなくて、ただ生きる為に戦ってきた私を必要としてくれた零崎家の人達の為にだ。

こうして私は許嫁候補の愛梨から零崎 愛梨になれたのだった。
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