怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第10章 本当の実力と柊のやり方
グレンが暮人の攻撃へ対応する為に手にした刀。
それは百夜教が攻めてきた時に使っていた刀とは違う物だった。
前に使っていた刀での戦闘を私達に見られたから変えたのだろうか。
それともあの刀が本来の武器なのかは考えても予想しかできない。
暮人
「!」
金属の甲高い音が響き、暮人の攻撃が受け止められる。
その光景に暮人が一瞬目を見開いたように見えたが、すぐ次の攻撃を始めた。
暮人
「…………」
動揺せず攻撃を再開できた暮人はさすがと言えるだろう。
普通ならグレンの実力に驚いて動きが鈍ってもおかしくないからだ。
だがそんな暮人の攻撃も実力を隠す気がないグレンには対応できるらしい。
全ての攻撃を受け流し、更には暮人の動きを上回る斬撃を放つ。
暮人
「ふ……」
当然暮人が簡単にその攻撃を受けるわけがなかった。
身を反らし、一歩引く。
そして懐から呪符を投げた。
だがその攻撃もグレンにあっさり破られる。
そこからの戦闘は圧倒されるものだった。
呪符を斬り裂いたグレンは、距離を詰めて真っ直ぐ心臓を狙う。
暮人もそれを防ぐが、防がれるのは想定内だったのだろう。
左手を刀から離し、暮人の顔へ拳を放った。
でもその攻撃も当たる事はない。
背後に倒れるようにしながら避けた暮人は、その体制のままグレンの刀を持つ腕に蹴りを入れた。
グレンもさすがにその蹴りは避けられなかったらしい。