第18章 出会い⦅過去編①⦆
私の両親が亡くなったのは、もう十数年も前の事。
それからはずっと、引き取ってくれたおじいちゃんと一緒に暮らしてきた。
「マイ、こっちへおいで」
「うん!」
大きな木の下で読書をするのが大好きだった私のとなりには、いつも大きなタマゴがあった。
当時、何のポケモンのタマゴかも知らずにずっと温めていた私が、きっとドラゴンのような大きくてカッコイイポケモンが生まれるに違いない。と考えていたのも今ではいい思い出。
「マイ、ワシはこれからスタジアムに行かねばならん。お利口に待っていられるかい?」
「うん、ポケモンさん達もいるから。大丈夫だよ。」
私の周りには常にポケモンがいた。ポケモンと言っても、どの子もおじいちゃんのパートナーで、私の面倒を見てくれる賢い子たち。
家から1歩も出ない私にとっては、最高の友達だった。
一緒にお絵描きして、お昼寝して、広い庭を探検して。
けれど、そんな心地の良い日々も、案外呆気なく幕を閉じる事を、この後知った。