第3章 試合の後は
「リザード!!ダイバーン!!!」
噴火の勢いでグレイシアに振りかぶる炎
「ぐぎゅう……」
最後の決め手グレイシアが倒れる
わああっと歓声が上がった
「へえ、案外弱いんですね?マイさんって」
「ふふ……この調子でジムチャレンジ頑張ってね」
何よコイツ
そう思いながらも、目の前の対戦相手と握手を組み交わし賞金を渡す
「楽しみだなあ。ジムチャレンジで貴方に勝利する事」
随分嫌味ったらしい言い方をしてくれるじゃないか
大体、勝てたんだから素直に喜んでよ
そっちの方が私としても嬉しいのに
「貴方に勝てたんだから……キバナさんも余裕かな?はははっ!!!!」
高らかな笑い声がコートに響く
観客も私たちの会話を聞こうと徐々に歓声が小さくなる
「そう?キバナは私より何倍も強いのよ?簡単に勝てるかしら」
「庇うんですね…、ああ!!彼氏でしたっけ?でも僕が勝つ事には変わりありませんよ?それにキバナさん。まだチャンピオンに1度も勝てた事がないんですよね?」
私の中でどこか小突かれたように、感情が燃え立つのを感じた
それは張り詰めた糸がプツンと切れるような感覚だった
「よく聞こえなかった…もう一度言って貰えるかしら」
体の中でフツフツと煮え滾る怒りが爆発しそうなのを抑えながら目の前にいるイヤなチャレンジャーに問う
「何度でも言えますよ?僕はキバナさんやチャンピオンに勝ちます。余裕を持ってね?貴方の彼氏、キバナさんと違って僕は何度でもチャンピオンに勝ちますから」
「キバナを馬鹿にしないで!!!貴方はキバナがどれだけ努力しているか知らないでしょう!!!」
しんと静まり返る
やってしまった。心の何処か片隅でそう思ったが、もう遅かった
私は怒りに声を震わせながらも古くからのパートナーを呼んだ
「キュウコン!!」
「コォォーーーン!!!!」
今の会話を聞いていたであろうキュウコンは颯爽と走って現れた
「コォン」
呑気に私をペロリと舐めたキュウコンは普通のキュウコンより大きいサイズなので立っているだけでも威圧感がある
「ほら、さっさと回復しなさい。返り討ちにしてあげる」
私は元気のかたまりと回復の薬、PPエイダーを相手に押し付けた