第10章 甘い毒は誰のために❥徳川家康
心配になった私は毒矢を抜いた政宗のところに行った。
政宗の部屋の前まで来ると、
「政宗、いる?」
「お、どうしたんだ?」
中から政宗の声が聞こえた。
私は確認した。
「入るね?」
「あぁ、いいぞ。」
そこで、私は家康のことをすべて政宗に話した。
「へぇ~。お前に愛の言葉をずっと言っていると。お前はそれは嬉しいんじゃないのか?」
「うん、嬉しいんだけど。意識を失うように眠りにつくから、心配になって...毒矢になにかあるんじゃないかなって...」
「なるほどな。分かった。こっちでも調べてみる。なにか分かったらお前に伝えに行く。」
「うん、お願いします。」
政宗に頼んで私が家康の部屋に戻ると、家康が私を探していた。
「華、華、どこ...?」
まるで魘されるように私の名前を呼んでいた。
「家康、私はここにいるよ?」
そう言うと家康はさっと私の側に来て、
「俺の、そばにいてよ...」
甘えたような声を出した。
「っ、うん。」
私が答えると家康は安心したように褥に戻って、眠りについた。
まるでおかしくなってしまったような家康に私もだんだん怖くなってきた。
(家康、大丈夫だよね...?)