第10章 甘い毒は誰のために❥徳川家康
それから、あっという間に時間が流れた。
政宗が家康を城に連れて帰り、矢を抜くと、家康をすぐ褥に運び、止血をして包帯を巻き、信長様に報告した。
その間、私は家康のそばにずっと居た。
「家康っ、ごめん、いえやすっ...」
家康に刺さった矢は、毒矢らしい。
家康は、目を覚まさない。
そんなふうに家康の側にいると...
がらっ
「!」
政宗が、入ってきた。
「おい、華大丈夫か?ずっと家康の側にいたんだろ?」
「うん、大丈夫...」
こんなの家康の今の苦しみに比べたら比べものにならないだろう。
政宗が口を開く。
「家康はそんなに重い毒じゃなかったらしい。」
「え、ほんと!?」
「あぁ、数日もしたら目を覚ますだろうが、目を覚ましたあとが重要だ。毒が体にまだ回っている可能性があるからな。すぐに動きまわるとまた毒が体を侵すかもしれない。」
「...つまり、安静にさせろって事だよね?」
「ああ、そうだ。」
「とにかくお前も無理するなよ?」
「うん、分かってる。ありがとう。」
その答えに満足したのか政宗はうん、と一つ頷くと部屋を出ていった。