第5章 方程式のつくりかた❥明智光秀
私は、光秀さんが帰ってくるのをいまかいまかと待っていた。
愛していると、光秀さんに言って欲しくて、安心させて欲しくて。
待ちきれなくなった私は廊下に出て光秀さんを待っていた。
(まだかな...)
そうして、待っていると...
「転けないように気をつけてくださいね。」
不意に香夜さんの声が聞こえた。
ちらっと覗いてみると、香夜さんが誰かにおんぶされていた。
(誰にされているんだろう)
そんなちょっとした興味本位で覗いてしまった私が、馬鹿だった。
...光秀、さん?
香夜さんをおんぶしているのは光秀さんだった。
(嘘...)
その二人は本当にお似合い、というしか言葉がなくて。
香夜さんの顔と光秀さんのもともとの顔の美しさは目を引くものだったが、
その二人が一緒にいるとなると、更に美しく見えた。
(なんで、一緒にいるの?)
信長様に呼ばれたんじゃないの?
どうして香夜さんと一緒にいるの?
どうして香夜さんをおんぶしているの?
疑問が私の頭に溢れかえった。
それと同時に、
(ああ、一年記念日がお別れの日になるのか)
なんてのが浮かんできた。
でも、私は別れたく、ない。
とにかく光秀さんに事実確認をしないといけない。
涙が出そうになったが、ぐっとこらえて光秀さんと香夜さんが行った方向を追いかけた。