第5章 方程式のつくりかた❥明智光秀
「っ?」
俺は信長様と話している途中だったが、ぱっと振り返った。
「どうした、光秀。」
信長様が言う。
「...いえ、何でも。」
どこかで、華が俺の事を呼んでいる気がしたのだ。
「これで話は終わりだ。長々と悪かった。光秀。」
小一時間ほど話していただろうか。
漸く話が終わり、俺は腰を上げた。
華のところに行ってやらないと。だいぶ待たせてしまった。
そして天守から退室しようとすると...
「光秀。」
信長様から急に呼びかけられた。
「はい。」
俺は振り向いた。
「...香夜に、気をつけろ。」
「え?」
一体何のことだ。
香夜とはあの姫のことだが...何かあったのだろうか。
「どういうことでしょうか」
俺が聞き返すと
「話は終わりだ。出ていけ。」
そう言って信長様が出て行けと言うように襖に顎をしゃくった。
「...御意。」
そう言って俺は天守から出ていった。
天守では...
「... 華が何かされていなければ良いが。」
信長が呟いた。