第49章 スタートライン!❥伊達政宗
「えっ、?」
思わず出してしまった声。
(政宗は私のお仕事をしている顔なんて見てたのかな...?)
「え、で、でも政宗は私がお仕事してるときの顔なんて見てないでしょ...?」
そう疑問に思って問うと。
「あぁ。見てない。だがな、お前が針子の話をするときの顔はいつもめちゃくちゃ輝いてるんだよ。まさにこの仕事が大好きですって顔でな。」
「えっ!?」
(私そんなキラキラした顔で話してたんだ...)
「だからそんな顔も俺は見たい。俺だけの思いでお前の可能性を潰したくない。」
「っ、政宗...」
政宗の思いがダイレクトに心の中に入り込んでくる。
先ほどまでとはまた違う気持ちが心の中に湧き出して来た。
まるで、押さえつけていた気持ちがゆっくりと出てくるような。
「お前の笑顔を作るのはいつだって俺がいいが...こういうときはおとなしく譲ってやるよ。」
そう言うと政宗はそっと私の手の中に反物を置いた。
「お前のすることはいつだって上手くいく。」
俺が保証するんだぞ、そう言った政宗の目は私の大好きなものそのままで。
「っ、あ....」
泣きたくないのに、なぜか涙が溢れてきた。
そんな私を政宗はそっと引き寄せると頭からすっぽりと抱きしめる。
政宗の聞きなれた心音が聞こえてくる。
(あったかい。)
この人の言う事なら、なんでも信じられる気がした。
(私、やってみるよ、政宗....っ)
そう思ってぎゅっと政宗を抱きしめ返すと、分かっていたように政宗が口を開いた。
「...もう答えは出てんだろ。....俺はいつまでも待ってる。」
(政宗には全部お見通しだな)
「っ....うん、っ私、行く、大阪に....!!!」
それでも今は、政宗にお見通しにされて良かったなと思った。
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あれから、三日後。
私は三日前に関原さんと会った時間にあの反物を抱えて待っていた。
あれから巾着袋をひとつあの反物で作った。
するとやっぱり思っていたとおりで、すごくいい仕上がりになった。
そこで政宗の助言もあって私の心はもう完璧に、この反物を作りたいという気持ちでいっぱいだったのだ。