第49章 スタートライン!❥伊達政宗
「ほら、やっぱり何か隠してただろ?」
「!!!」
政宗がそう言うと同時に、私の後ろにあった反物がふわっと政宗の手によって宙を舞った。
それが政宗に反物のことがばれたのだと気づいたのはすぐあと。
「っ!!」
見つかってしまったことに思わず青ざめる。
それは、このことを政宗に知られてしまったらきっと政宗は....政宗の考え方なら、私のしたいようにすればいいと言うだろうから。
(...したいようにするなんて、私には決められない。)
政宗といることも、お誘いを受けて大阪に行くことも、どちらも私にとって重要なことだった。
(もしかしたらここにいて欲しいって言うかも。)
むしろそれならちゃんとお誘いを断れる。のに。
そんなこと、政宗が言うはずないと分かっていながら。
政宗に反物を取られてから、一度にたくさんのことを考えて何も言えない私。
そんな私に政宗は目ざとく反応した。
「...何考えてるのかしらねぇが、俺はお前を応援する。」
「!」
その言葉に現実に引き戻されて政宗を見ると、優しく笑みを浮かべた政宗が私を見ていた。
「どうせお前のことだから、全部ひとりで考え込んでたんだろ?」
「っ、」
図星、だ。
「で、でも...っ」
「華の言うことなら俺も全部応援したい。だから....話してほしい。お前に何があったのか。」
「、まさ、むね」
反論の言葉を紡ごうとするとそれを防がれてあまり見ることのない真剣な瞳で政宗は私を見つめた。
「....あの、ね」
それに押されて、私はぽつりぽつりとこれまでにあったことを話し始めた。
「...っていうこと、なの。」
ゆっくりと時間をかけて一言ずつ言葉を紡ぐ私に政宗は合間に頷きを入れながらも聞いてくれた。
そして私が話をし終わると。
政宗はそうか、とひとつ呟いて私の頭にぽんっと手を乗せた。
その仕草に政宗を見つめる。
「....俺はな、お前に悔いのない選択をして欲しいと思ってる。」
「!」
(...やっぱり、)