第5章 方程式のつくりかた❥明智光秀
突然言われた言葉に解釈が出来ず、立ち止まっていると
香夜さんが口を開いた。
「私は正直者貴方よりも美しいと自負しております。」
(確かに、そうだ。)
それは紛れもない事実だ。
続けて香夜さんが言った。
「貴方の家柄はどうなのでしょうか?私は光秀様程では御座いませんが、かなり有名な家柄ですが。」
(っ、言え...ない)
500年後の世界から来たなんて、口が裂けても言えない事だろう。
第一、言ったところできっと信用してもらえない。
私が口を閉ざして立ちすくんでいると..
「もしかして、言えないような家柄なのですか?」
香夜さんが言った。
(!)
当たったことに驚くと...
「やはり、そうなのですね。」
香夜さんが私を見定めするような目線で見つめる。
「貴方は...光秀様に相応しいのですか?」
(...え?)
「私の方が美しいのは事実ですし、家柄も言えないようなところなんでしょう?何故安土城に置かれたのかは存じ上げませんが、どうせ貴方が縋りついたんでしょう。」
(え...)
心が冷たくなっていくのを感じた。
それでも何も言えない私に...
香夜さんは、決定打を、放った。
「貴方は光秀様に相応しくありませんね。」