第5章 方程式のつくりかた❥明智光秀
(結局、光秀さんに1年記念日の事、言えなかったなぁ。)
私はとぼとぼとお城の廊下を歩いていた。
あれからすぐに光秀さんは信長様に呼ばれ、なにか大事な話があるようで、先に部屋に戻るように言われた。
(いつ言おうか...)
もう日は高く登ってしまっているし、早く言わないとタイミングを見失う。
それに、光秀さんの為に作った羽織さえも出すタイミングが無くなるだろう。
次に光秀さんに会ったときに言おう!
そう決心したとき...
「華さん。」
そう言って呼び止められたのは香夜さんだった。
「あ、香夜さん。どうかしましたか?」
道にでも迷ったのだろうか。安土城の廊下は長くて複雑だから私も最初は困り果てたものだ。
「...貴方は、光秀様と恋仲なのですか?」
「えっ!?」
いきなり投げかけられた質問に驚き言葉が詰まる。
「どうして...」
「いえ、貴方の目線を見ていたら分かります。光秀様を、慕っていると。」
「それで、恋仲なのですか?」
「う、うん。一応...」
「でも、それがどうしたの?」
私が聞き返すと...
「私は、光秀様を慕っております。」
(!?)