第46章 愛してください❥織田信長
(うう、秀吉さん空気読んでほしいよぉ...)
秀吉さんがそういったことで更に言い訳が出来なくなる。
ちらりと上を見上げると変わらず真っ直ぐと私を見てくる二つの紅い瞳。
それに頭がくらくらと回りそうになる。
だけどそれをぐっとこらえて私は小さい声で呟いた。
「....織田先生のせい。」
「ん?」
私がそう言って最初に声を上げたのは秀吉さんだった。
「お前今なんて言ったんだ?」
普通に聞き取れていなかったらしく、きょとん顔で私を覗き込んでくる。
きっと織田先生も同じなのだろう。何も言葉を発しない。
でも一刻も早くそこから逃げ出したかった私はにこっと笑みを貼り付けて織田先生と秀吉さんに笑いかけた。
「じ、じゃあ、私はもう帰らないといけないので!下校チャイムもなってるし....!?」
そう言いかけたとき、今度は織田先生の方へぐいっと引っ張られた。
(え、なに!?)
その急な行動に思わず織田先生の胸の中に飛び込んでしまった。
その行動の意味がわからず頭にハテナマークを浮かべて静かに織田先生を見つめると。
先程よりも更に赤みを増したように見えるその瞳が私を捉えていた。
「っ!」
いくら拒んでも、好きな人は好きな人。
その瞳に否応なしに心臓がどくどくと音を立てる。
すると織田先生はいきなりふっと瞳を和らげた。
「!」
その行動の真意さえも分からずに戸惑いながら目線を向けると...
「秀吉、こいつは俺がなんとかする。もう上がれ。」
「え、ですが信長様....」
「貴様は俺に口答えするのか?」
「....いえ。」
その言動が何だか同じ職場で働いているもの同士とは思えないようで少し心配になる。
(なんだかパワハラみたいになってるけど....。)
それでこの二人の関係が保たれているのならいいのだろう。
秀吉さんも織田先生を慕ってるし。
そんなことより今私は目の前の織田先生のことで頭がいっぱいだった。
織田先生は秀吉さんを返したあと、私をひとつの部屋へ連れ込んだ。
何をされるのか、と怯えていた私だったがそこで織田先生は何もしないと微笑んだその顔に負けて部屋へと入ってきたのだ。
部屋に入ると早速織田先生が私と向き合う。