第46章 愛してください❥織田信長
「「!!」」
そのよく響く声に私も秀吉さんも驚いて固まる。
秀吉さんの伸ばされていた腕も下ろされた。
私の後ろから聞こえた声。
その持ち主を秀吉さんはもう理解しているようでびっくりした目線をその人に向けている。
私も....その声の持ち主は誰かとっくに分かっていた。
だけど、あえて振り向かない。
その人に...織田先生に。
きっと今は普通の顔を見せることができないから。
「貴様、ここで何をしていた。」
もう一度威厳のある声が響く。
「っ、俺は....」
秀吉さんが口を開くと、
「違う。貴様に聞いているのではない。俺は今華に問いかけている。」
「!」
後ろから聞こえた私を呼ぶ声。
それにさらに後ろを振り向けなくて硬直する。
「...おい華。信長様の方を向いた方がいいんじゃないか?」
秀吉さんがそう小さい声で言う。
それに覚悟を決めて...
私はゆっくりと振り返った。
「っ....」
そこにあったのは。紛れもなく、私の大好きな人。
「....織田先生。」
ぽつりと名前を呼ぶとこちらに向けられていた目線がさらに細められる。
「何をしていた。ここで。」
「っ....」
織田先生に失恋してここまで逃げてきました。
なんて口が裂けても言えるはずが無い。
そう思って黙り込んでいると...
「....秀吉。貴様はここで何をしていた。」
「俺は...泣いている華を見つけて...慰めようとしてました。」
馬鹿正直に話す秀吉さんに心の中で叫ぶ。
(なんでここでそんな正直に言っちゃうの!?)
泣いていることは一番知られたくなかったのに...!
そう教師に悪態をついていると...
「...ほう。泣いていたのか貴様。」
「!!」
今度はしっかりと私の瞳を見つめる織田先生。
それから逃れたくて必死に言い訳を話す。
「あ、いや泣いていたのは、その、目にゴミが入ったからで...」
「いや、そんなことはない。正直に話せ華。」
「!」
(秀吉さん...!)
考えた言い訳を綺麗にぶった切る秀吉さんにもはやため息をつきそうになる。