第46章 愛してください❥織田信長
そう思って織田先生を見つめるも、目線が返ってくるはずもなく...
一回も目線が合わずに織田先生が横を通り過ぎて後ろに座った。
それが当然と言えば当然なのだけど...
どこか寂しくて少しだけ下を向いた。
でもそんなことはお構いなしに織田先生はみんなにてきぱきと指示を出していく。
最初は隣の人と英語の受け答えの練習だ。
(英語は数学とおんなじくらい苦手だなぁ...)
織田先生が授業をしているというのに英語だけは好きになれない。
だけど今はそんなことを考えずに隣の人に向き直った。
まずは私が隣の人に問いかける。
「はうおーるどあーゆー?」
「あいむせぶんてぃーんいやーずおーるど」
「....」
「....」
実は隣の人も隣の人で私と同じように英語が苦手。
なので英語を喋っているようでなんだか下手くそな日本語を喋っているような感じになってしまうのだ。
中学一年生でももっとマシな英語の発音ができるだろう。
「....やっぱり俺達駄目だな。」
隣の人が言う言葉に何回目だろうか分からないが頷く。
「...そうみたい。」
毎度のことのように起こるこの現象はもう慣れてしまっていた。
そこで話すことを諦めてちらっと後ろのペアを見ると...
「Do you have girlfriend?」
「!!?」
がんっと頭を机にぶつけかけた。
織田先生の隣に座っている女の子は今、にこにこしながら
(どぅーゆーはぶがーるふれんど....)
と聞いていた。
つまり、彼女がいるかいないかということ。
(っ...絶対盗み聞きしなきゃ)
私が息を潜めて硬直したまま前を向く。
だけど耳だけはしっかりと後ろの会話に注目していた。
「umm...it's secret」
(しーくれっとかい!!)
思わず心の中で突っ込んでしまった。
織田先生はそういうことははっきりと答える人かと思ったけど...
意外とそうでもないらしい。
それから何事も起こらずに授業の終わりを迎え、休み時間にいつものように織田先生を盗み見して....と過ごしていたら、いつの間にか放課後になっていた。