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『イケメン戦国』永遠に紡ぐ恋ノウタ

第45章 トドカナイオモイ『後編』❥豊臣秀吉




それは、針子の部屋の席がひとつ空いて。


ある武将の姿が見えなくなったことだ。




そう。



秀吉さんと、華ちゃんだった。






一年前のあの日から、私は一度も文を読まなかった。

秀吉さんもそれを強要しなかったから秀吉さんを忘れるために必死だった。


でも、ある時。


気づかないうちに、秀吉さんと華ちゃんの姿が消えた。


針子仲間に聞くと、どうやら二人で秀吉さんの故郷の城に帰ったらしい。


それを聞いたときは、解ってはいたけれど、かなり衝撃を受けた。


やっぱり私じゃないこと。


それはもちろんだが、


何も言わずに行ったこと。


それが一番辛かった。



やっぱり私の存在は、秀吉さんにとっても華ちゃんにとってもその程度だったんだと嫌でも分かってしまう。



でもそれでも。


私の秀吉さんに対する想いは、消えそうになかった。






_______________



そして、今日で秀吉さん達が向こうに行って1年ほど経った。


今日は針子の仕事がない日。

ひとりで何をするにも暇だったので、ひとつあることを思いついた。




(よし、掃除でもするか。)






最近部屋が散らばってしまっている。

多分針子の仕事で籠もりすぎて周りが見えていないからだろう。

私の悪い癖。


「とりあえずやろうっ」


部屋を綺麗にすることは心の中も綺麗にすることなのだと誰かが言っていた。


部屋の掃除をして、心も綺麗にして。


心機一転頑張らなくては。


(秀吉さんのことを、忘れられるように。)



そして私は掃除に励んでいった------。












時刻はもう夕方。


私はぴかぴかになった部屋を見てほっとひとつため息をつく。

反物ばかりの部屋も片付いたし、押し入れも綺麗にできたし、あと残っているのは小さな棚の中だけだ。



(最後だぁ!)



そう思って嬉々として棚の一番目の引き出しを開けると....




「...!!!」





約一年前に貰った、秀吉さんからの文。


思わずそれを見て固まる。


年月が経ったからか少しよれたその文は、しっかりと残っていた。


(...そうだ、結局読まなかったのか。)


すっかり忘れていた。







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