第45章 トドカナイオモイ『後編』❥豊臣秀吉
でも一番聞きたいのは秀吉さん本人。
どうして急にいなくなったのか。
でも実は私は秀吉さんがどこに行ったのか大体目安はついていた。
(.... 華ちゃんのところに、行ったんだろうな。)
誤解を解くために。
自分が愛しているのは祝言を挙げている華じゃなくてお前だよって。
そしてふたりは誤解が解けて、仲良く愛し合っているのだろう。
でも今はもう丑三つ時だ。
眠っているだろうか。
(....!!)
そこまで思ったとき、何やら温かいものが頬を伝っているのがわかった。
指でそっと触ると、雫がつく。
「っ....」
今なら、抑えていた思いをすべてうちあけられそうな気がする。
「っ、うっ、うっ....好きだよ....っ」
隠していた思いが、ぽろぽろと溢れ出る。
「隠してても、好きなのっ....どうすればいいのっ....?」
みっともないと自分でも分かっている。
こんな夜中にひとり廊下で突っ立って。
何をしたいのかもう自分でも分からない。
(好き、好き、好きだよ、秀吉さん....)
私のほうが先に好きになったのになぁ。
どうしてうまく回らないんだろう。
ひとしきり泣いたあとでひとり我にかえる。
こんないい大人が泣いているなんて恥ずかしい。
誰かに見られることは丑三つ時だから無いかもしれないけど、それでも羞恥が自分を襲った。
(....帰ろう。)
そしてそっと一歩を踏み出したとき...
ぐんっ
「!?」
誰かにぐっと腕を掴まれる。
何事かと思わず振り返ると....
「!!」
いま一番、会いたくないのに、会いたい人がいた。
「ひでよし、さん....」
(見られてた...?)
秀吉さんは私の腕を掴んだまま何も言わない。
でも腕をつかむ力が弱くなることは無かった。
そのまま二人で暫く見つめ合う。
でも秀吉さんの目からは何も読み取ることができなかった。
そして先に口を開いたのは、私。
「あの、秀吉、さん....?」
秀吉さんはなおも何も言わずに私を見つめる。
「ねぇ、秀吉さん、どうしたの...?」
私が声を振り絞ると。