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『イケメン戦国』永遠に紡ぐ恋ノウタ

第45章 トドカナイオモイ『後編』❥豊臣秀吉




それから、つつがなく式は順調にとり行なわれていき...


今は自由に皆がお酒を飲み合っている。

私もようやくこのほっとする時間が訪れたことに肩を落とした。


するとかちゃ、と音が鳴って隣の秀吉さんが私にお酒を差し出す。

「お前も飲め、少しは飲めるだろ?」

「っ、うん、じゃあいただきます。」

その優しさに感謝してそっと秀吉さんが注いでくれたお酒に口をつける。


「わぁ、これ美味しい....」

「だろ?誰でも飲みやすいように俺がしっかり調整したからな。」

ふふん、と自慢気に笑う秀吉さんに私も笑顔になった。


「ほら、こっちも飲むか?」

秀吉さんが優しく私にお酒を注ぐ。

「飲むって、もう注いじゃってるでしょ?」

私が笑いながら言うと秀吉さんももっと笑顔になった。


そんなときに....


「いやぁ、やはり仲が良いですなぁ。」


「「!!」」


そんな声とともに近寄ってきたのは、私が名前を告げたあの大名だった。

「いえ、そんなこと...」

私が控えめに否定するとその人は優しく笑う。

「その謙虚なところも美しいですな。さすが秀吉様と夫婦(めおと)である方だ。」


「っ、いえ、そんな...」


私が恥ずかしいやらなんやらで胸の前で手を振ると...

その大名がはっと思い出したように笑った。





「そういえば、安土城には貴女様と同じ名前の人がいるのですな。」







(....え、)


私はその言葉に固まる。

秀吉さんも同じように体を固くしたのが分かった。


「ついさっき廊下で会いましてな。他の方から華ちゃん、と呼ばれていたので一瞬びっくりしましたよ。」



「っあ....」


私は声にもならない声とともに冷や汗が背中に流れ落ちた。


「それで向こうが私に挨拶してきたのでな。秀吉様と祝言を挙げる貴女様と同じ名前だと言うことを知らなかった、というと、目を見開いて一目散に駆け出しましたよ。」




「「!!!」」



恐れていた事が、現実になった。


やはり秀吉さんは恋仲の華ちゃんにこの事を伝えていなかったのだ。


私も秀吉さんも何も動けずに固まる。

するとその大名は他の人に呼ばれ失礼します、と一言言うと私たちの前から去っていった。




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