第43章 愛が溢れる境界線❥伊達政宗
顔を上げるとよく知っている銀髪の男の顔。
「...光秀。」
光秀は近くの壁によりかかりながら俺を見ている。
そして、さっきの信長様と俺との話を聞いていたのか、にやりと笑みを浮かべた。
「政宗、お前華と会えてないらしいな。」
「...だからなんだよ。」
そのことを真正面からの言われるとやはり不機嫌な声が出てしまう。
それを見破ったのか光秀はまた笑みを深めた。
「さて、一年前に一番華を大切にすると言ったのは誰だったかな。」
「っ、」
気にしていたことを言われてぎゅっと拳を握りしめた。
だが光秀は....
そのまま、俺の触れてはいけないところに触れる発言をした。
「政宗お前。華を愛していないんじゃないか?」
「....!!!」
その声とともに、ぷつり、と何かが頭の中で切れた気がした。
そして気づくと....俺は光秀の胸ぐらをつかみ上げていた。
「っ、俺が華を愛してないわけないだろ!!」
胸ぐらをつかみあげられたのにもかかわらずにやにやと笑みを湛えたままの光秀。
「そうか?お前の行動は華を愛していないものだと、華本人から聞いたが?」
「っ、」
(こいつ、華と話したのか...っ)
「あぁ。確かに、俺は華に柄でもない態度を取った。だが...それは華が好きすぎるからなんだよ!!」
「....」
光秀は黙って俺を見つめている。
それに流されるように光秀に言うはずもなかった本音がすらすらと出てきた。
「俺はあいつを愛しているのに...最近あいつがどこかに行かないか心配で、堪らなかった。だから何故か距離を取って...その存在を確かなものにしようとしていた。」
言いながらも気力が抜けて掴んでいた光秀の胸ぐらを離す。
「馬鹿だよな、俺....。あいつがどこにも行かないって分かってたのに、あいつに変な不安を抱いたんだよ。」