第43章 愛が溢れる境界線❥伊達政宗
だから最近は....口づけさえも、自分からすることが少なくなっていた。
幸い、華には気づかれていない。
もちろん華からされたときはしっかりと応えるし、華はかなり鈍感だから、そこは気づいていないだろう。
そんな、浅はかな考えをした、俺は馬鹿だった。
昨日のこと。
俺が政務を終えて華が待っている部屋へと帰ると、華がなにやら深刻そうな顔をして待っていた。
「?おい、どうしたんだ華。」
そう声をかけると今俺が帰ってきたことに気づいたようにぱっと顔を上げる華。
そして、何かを言おうか、言わまいか迷っていたが..,
結局、口を閉ざして、ひとこと、
「....何でもないよ。」
と、にっこりと笑ってみせた。
「....そうか。」
その様子に、何か違和感を抱いた俺だったが、その日の政務はかなり体力を使う仕事で疲れていたため、そこにはあまり深入りをしなかった。
だが、それが、間違いだったのだ。
翌朝。俺が目覚めると....
隣に、華はいなかった。
「!!」
驚いて飛び起きるも、周りに華の気配はなく。
しかも、華の荷物さえも無くなっていた。
「どういうことだ....?」
状況が飲み込めず、ひとり固まっていると...
はらり
「!」
一枚の文が政宗の懐から落ちた。
見覚えのない文。
(まさか...)
それに政宗は確信した。
これは、華からの文なのだと。
慌てて中を開くと、華がいつもつけている香りがふわりと立ち込め。
それに更に大きな確信を抱いた。
その華からの手紙を一部抜粋すると。
『政宗に飽きられたのかと思うと心が痛くて側にいることができない。』
『最近様子が変だとずっと思ってたんだ。』
『政宗の心をちゃんと繋ぎ止めておきたかった。』
など、華の胸の内がありありと書かれていた。
「っ、」
それに政宗の心の中も罪悪感で満ちていく。