第43章 愛が溢れる境界線❥伊達政宗
「....」
ある夜のこと。
政宗はひとり御殿の自室で滅多にしないような考え事をしていた。
もちろんその悩みの内容は.... 華のこと。
いつもなら隣にいて一緒に眠るはずの華がいない。
なぜこんなふうになってしまったのか、政宗はしっかりと頭の中で思い出していた。
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それは、少し前のこと。
政宗はいつものように政務を終えて、華が待っている部屋へと帰っていた。
そして、部屋の襖を開けると、いつものように可愛い笑顔で出迎えてくれる華。
それに政宗も自然と笑顔になっていた。
だけど....
(....あいつが大事すぎて、怖い。)
最近政宗はそう強く思うようになっていた。
華と同棲し始めてそろそろ一年が経つ。
その間にもたくさんのことがあり、それを経て自分たちは結ばれた。
もちろん華への愛情なんて失せる気もないし、一生無くならない自信もある。
だが...
「政宗、おかえり!」
そう言う華の笑顔を見るたびに、こいつを手放したくない、という思いが一層深まるのだ。
なぜいきなりこうなったのかは分からない。
だが政宗の心の中には何か渦巻いているものがあるのだった。
「....?政宗....?」
その日はその華の声ではっと目が覚めた。
前を向くと不思議そうに首を傾げている華。
それにまた俺はなんでもないように笑顔を作って華に近寄るのだった。
そして、その夜も。
何度も、華に覆いかぶさろうとした。
華も、それをどこか期待してるようにも見えた。
だが...
(こいつを今抱いたら....どうなるか分からねぇ。)
自分が抱いている思いが、華をどうさせてしまうか分からない。
その思いから、また政宗は静かに眠りにつくのだった。