第42章 甘い想いのジレンマ❥明智光秀
「...良いですよ。」
「?」
華が不意に口を開いた。
よく言葉が聞き取れず華を見つめる。
すると華が覚悟を決めたように俺を見上げて、今度はしっかりと言葉を発した。
「光秀さんになら、何をされてもいいですっ....!!!」
「!!!」
その言葉に体が固まる。
目を見開いて華を見るも、今言った言葉を撤回するつもりはないらしい。
そして、その言葉が意味することは.....
そこまで考えて俺はふっと息をつく。
(...俺は...息をしていなかったのか。)
あまりにも一度に多くのことを考えすぎたのか自分が息さえもしていなかったことに気づき、少し呼吸を整える。
そして。恐る恐るそっと口を開いた。
「お前、それはどういう意味なのか分かっているのか?」
「っ、はい。一応、分かっているつもりではいます。」
すると小娘ながらいっちょまえに返ってきた答え。
それに、否応なしに心が動かされていくのが分かった。
そして、俺がこれまでずっと燻ってきた淡い想いを。
今、実らせるときではないかと、直感で思った。
もし、伝えたらどういう反応をするか分からない。
もしかしたら思うような答えは返ってこないかもしれない。
(....それでも。)
伝えたい言葉が、想いが、ある。
そこまで思ったそのとき、華が何かを言いたげに口を開いた。
だが、俺は咄嗟にその口を手のひらで覆う。
華は驚いたように目を見開くがそれには構わず口を開いた。
「お前が言いたいことは後で聞く。だから...俺の言いたいことを先に言っていいか?」
そう言ってそっと華の口に当てていた手を下ろす。
もう一度いいか?と聞くと華はうんうんと顔を縦に降った。
そして、俺と華が見つめ合ったとき、部屋に甘い空気が流れ出したのが分かった。
その雰囲気に押されるように、俺はゆっくりと口を開いた。