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『イケメン戦国』永遠に紡ぐ恋ノウタ

第41章 伝えられない真実『後編』❥徳川家康




『どうか、どうかお願いします。私の最後の願いを、聞いてください。』


「っ、華に言われたら....敵わないよ。」


それがどういう意味から分かったのか、華はひとつ安堵の息を洩らしたのが分かった。


『もう、時間がないです。私は貴方と一緒にはいられない。』

「っやめろ、行かないでくれ、華っ...!」


後ろに華の気配を感じて、振り向こうとするも、体が固まって動けない。


『家康さん、私の姿を見たらきっと私のことを忘れられないから、どうか振り返らないでっ....』


「...嘘つき。ならなんで泣いてるの。」


そう言う華の声は震えている。

『泣いてませんっ....』

そしてまた背中にぎゅっと力がこもった。


『もし私を思い出したくなったら、手紙を読んでください。それが私とあなたを繋ぐ道です。』


「っうん、分かった」


『貴方が幸せになることを、世界で一番、望んでます。』


「っ....!」


その声にもう華が消えていく気がして、俺はその金縛りを力を込めて解いた。


そして、後ろを向くと...




あの姿のままの、華。

しかし、目に涙は溜めている。

体こそ透けているものの、その姿は華に違いなかった。


「嘘つき、やっぱり泣いてるでしょ、」



華は俺が金縛りを解いたのに驚いたのか目を見開いている。

が、次の瞬間には泣きながら笑顔になった。


『家康さんも、泣いてますよ?』


「っ、気のせい。」


俺はそう言って華をかき抱くように抱きしめた。


『っ、家康さんっ....』


華が腕の中で声を上げる。
だけどそれさえも封じるように強く抱きしめた。


「...また、俺達会えるよね」


『....はい、必ず。』


そしてそっと下を見ると、もう体が透けて表情すらも怪しくなってきた。


「行かないで、行かないで、華っ...!!」


必死に言って抱きしめる。

華も一瞬だけ抱きしめ返したが、そっと手を放した。


『家康さん、私はもう、行かなきゃ。』


「駄目だ、行くなっ....頼む、行かないで、行かないで...」




『家康さん。』



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